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大阪高裁平成24年7月6日和解
●商 品: 仕組債(株価連動債)
●違法要素: −
●過失相殺: (実損の85%で和解成立)
●掲 載 誌: −
●審級関係: 一審全面敗訴からの逆転和解
事案は、不動産会社代表者が、大阪地裁平成22年3月26日判決の事案と同種のプロテクション付きノックインプット・エクイティリンク債(証券会社では「EKO債」と呼ばれている)を購入して、大きな損失を被ったというもので、対象となった仕組債は、償還期限は3年で、金利は年率14.05%で確定していたが、購入額5000万円に対して想定元本は10倍の5億円であって、対象とする株式20銘柄のうち幾つかの銘柄がノックイン価格(基礎価格の55%)以下になった上で償還を迎えれば元本が0になり得るという特性を有する商品であった。
一審判決は、抽象的には本件仕組債のリスクの高さを認定しつつ、顧客には証券会社2社と取引経験があって1億円以上の投資を行っており、為替連動型仕組債も経験していたことから、積極的な投資意欲や経験経験の蓄積があったとし、さらに本件仕組債は3年間で合計42.15%ものクーポンが受領できることが確定しているので(販売証券会社の保証付)、為替連動型仕組債と比べて安全性が著しく劣るとも言えないとして、適合性原則違反を否定し、説明内容についても、証券会社の主張をほぼそのまま認めた認定を行って、説明義務違反をも否定していた。
これに対し、控訴審から当事務所で顧客側代理人を務め、本件仕組債の具体的な商品特性や事実関係に関して詳細な主張を行ったところ、控訴審裁判所においては難解な商品内容を理解するための真摯な取組が行われ、裁判所が抱かれた疑問点が書面で両当事者に呈示されるといった形での審理が続き、最終的には、結審後に行われた裁判所からの和解勧告によって、実損の85%の支払を内容とする和解が成立した。(なお、当サイトでは、判決を取得することなく和解で終了した事案は、基本的には公開しておりませんが、本件は、多数の同種訴訟が存在するEKO債についての一審全面敗訴からの逆転和解として意味があり、守秘条項も付されていないため、例外的に掲載することにしたものです。)