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大阪高裁平成7年4月20日判決
●商 品: ワラント
●違法要素: 説明義務違反
●過失相殺: 2割
●掲 載 誌: 判例セレクト3・107頁、判例時報1546・20頁、判例タイムズ885・207頁
●審級関係: ワラント初の高裁(逆転)勝訴判決、
最高裁平成10年6月11日判決(判例セレクト8・310頁)で上告棄却
本件は、20回ものワラント取引が行われ、うち17回は利益が出たが、放置された3つのワラントによって深刻な被害が生じた事案である。一審判決は、 ワラントを「ワラント債」と表記するという誤った理解に基づき、安易に説明と理解を肯定して投資家の請求を棄却した。
これに対して本判決は、投資家の職業、年齢、財産状態及び投資経験、投資目的等に照らし、投資家に対し当該取引に伴う危険性について的確な認識 を形成するに足りる情報を提供すべき注意義務を証券会社に認め、本件取引については、投資家の属性から、@ワラントの意義、A権利行使価格、権利行使 期間の意味、外貨建ワラントの価格形成のメカニズム及びハイリスクな商品であり、無価値となることもあること、C外貨建ワラントは相対取引によること、 の四点につき、十分に説明するだけでなく、投資家がそれらについて的確に認識できるようにすべき義務があるとした。その上で、詳細な事実認定によって、 @ないしCについての説明がなかったことを認め、かかる勧誘は「証券取引にあたっての証券会社の誠実義務に違反した違法なもの」として、一審判決を覆し、 過失相殺も2割にとどめて投資家の請求を認容した。
本判決は、ワラントについての初の投資家逆転勝訴判決であり、以後、全国的にかような投資家逆転勝訴判決が相次いで現れるに至った。