★平成26年3月14日更新
 平成26年2月14日に、日経平均株価指数2倍連動債の被害についての控訴審での逆転和解が成立しました。この事案は、一審の裁判所(単独審)は、全く基礎的な理解がないままで、医師である顧客の地位や一般的能力、資力だけを重視して当方の請求を棄却していましたが、控訴審では、説明義務違反により4割認容を前提とした和解勧告が行われ、適合性原則違反についても議論を重ねていて判決になれば認める可能性もあることが示唆されました。それでも、顧客側としては和解を拒否してまで判決を取得することは難しく、結局は和解に応じることになりました。
 この事件に限らず、実は、最近の仕組債やデリバティブの訴訟は、顧客が有利になった事案はほとんどが和解で解決されてしまっているという実情があり、とくに高裁では、顧客が有利な事案はほぼ例外なく強い和解勧告が行われ、和解で終了してしまうことが大半です(このようなことから、当事務所が担当した事件も、その大半は控訴審は和解で終了しています)。そのため、実際の解決例に比べて、顧客勝訴判決として表に出る事件はとても少ない(とくに高裁判決は少なくなっています)状況となっています。依頼者の被害回復を第一に考え、早期解決も重視すべき立場にある弁護士としては、これはやむを得ない面があるのですが、被害回復のための判例法理の前進や蓄積の観点から見れば残念なことでもあります。このような実態は、各方面において理解していただきたいところです。