【証券取引被害訴訟の実情】
証券取引被害については、金融商品取引法(旧証券取引法)によって、原則として任意の損失の補填が禁止されているため、通常の民事事件のような示談解決は困難であり、ほとんどの場合、民事訴訟をはじめとする正式な紛争解決手続による解決を図るしかありません。そして、民事訴訟の場で被害救済を得るためには、ただ単に「勧誘を信頼したら損が出た」といった問題があるだけでは足りず、勧誘された商品が明らかに被害者に適合しない商品であったり(適合性原則違反)、勧誘の際に被害者がリスクの内容や程度を理解できるほどの十分な説明が行われなかった(説明義務違反)といった違法行為が存在することを明らかにする必要があります。しかし、借用証書に基づいて貸金を請求するといった単純な民事訴訟とは違って、手続上(外形上)は正規の取引として成立している証券取引について、被害者である顧客が大企業である業者を相手に、上記のような業者側の違法行為を立証して勝訴判決を勝ち取ることは、そう簡単なことではありません。 そのため、当事務所が証券取引被害事件のご相談を受けた場合も、事件の内容や被害者の属性、これまでの裁判例の状況などから、民事訴訟で勝訴することは困難であることを率直にお伝えして、ご依頼をお断りせざるを得ないケースが少なくないのが実情です。
しかしながら、すべての被害者が泣き寝入りしていては、永遠に被害回復は果たされず、公正なルールも生まれず、同様の被害が続くことになってしまいます。当事務所で取得した判決や、全国証券問題研究会のメンバーである各地の弁護士らが取得した判決の中には、後の被害救済の流れの基礎となったと思われる先進的な判決が幾つもありますが、これらはすべて、被害者の方々が泣き寝入りすることなく弁護士とともに頑張り抜いていただいた貴重な成果なのです。また、素人である被害者から見れば困難と思える事件でも、専門家から見れば放置できない悪質な事案であって十分に問題にできる場合も少なくありません。 不幸にして被害に遭われた場合は、是非、最寄りの地域の、この分野に詳しい弁護士に相談してみることをお勧めします (以上の記述は、金融商品取引法(旧証券取引法)が適用される正規の金融商品取引業者(証券会社や銀行など)によって行われた証券取引を前提としたもので、それ以外の取引による被害を念頭に置いたものではありませんので、ご注意下さい。) |